社会的包摂と動物福祉
分析レポート
Code for CATの公開記録は、イベントや投稿の時系列だけでなく、シビックテックが動物福祉と交わった実践の記録として読むことができます。
テーマ型コミュニティとしての特徴
一般的なCode for X型コミュニティは、自治体や地域を単位に活動することが多い一方、Code for CATは「猫」という関心と社会課題を中心に人が集まります。この形により、居住地に縛られず、エンジニア、デザイナー、データサイエンティスト、保護活動者、行政関係者が参加しやすくなっています。
地域猫を資産として見る
Code for CATの重要な視点は、地域猫を迷惑や管理の対象としてだけ扱わないことです。餌やり、糞尿、鳴き声をめぐる対立は、猫の問題であると同時に、住民同士の合意形成や相互理解の問題でもあります。猫に関する正しい知識を共有し、人と猫が共生する仕組みを作ることは、地域コミュニティの分断を和らげる市民的な取り組みでもあります。
CatBotとライタソン
CatBotは、猫に関する疑問にLINE上で答えるチャットボットです。2019年2月22日にアルファ版、2020年2月22日にベータ版が公開された流れが確認できます。Microsoft AzureのQnA MakerやLogic Appsのようなクラウドサービスを組み合わせることで、専門的なコードだけに依存しない運用が目指されました。FAQのもとになる問いは、ライタソンによって市民から集められました。付箋と模造紙を使い、参加者が猫に関する困りごとや経験を書き出すことで、生活知がデータとして整理されていきます。
ライタソンプラットフォーム
2020年末の公開記事では、CatBotのQ&Aコンテンツを維持管理し、Dialogflowなどへ書き出すためのライタソンプラットフォームが議論されています。模造紙、付箋、Googleフォーム、スプレッドシート、QnA Maker、Zoom、Miroといった道具をまたぎながら、市民参加型の知識整理をどうデジタル化するかが課題になっていました。この論点は、猫に限らず地域ガイド、観光、子育て、NPO支援にも応用できます。
安心できる小さな場
Catdonは、Mastodonを基盤とした猫好き向けの分散型SNSです。2017年4月19日に立ち上げられ、Code for CAT運営という位置づけになったことが公開記事から確認できます。大規模SNSのアルゴリズムから距離を置き、猫という共通の関心を持つ人が安心して集まれる場として設計されています。小さなテーマ型ネットワークは、シビックテックに必要な心理的安全性を支える基盤にもなります。
活動を支える人材
Code for CATは、設立発起人、Webディレクター、ファシリテーター、データサイエンティスト、エンジニア、コミュニティビルダーなど、多様な専門性を持つ人々によって支えられてきました。個人の関心と専門性が重なり合うことで、義務感だけでは続きにくい市民活動に、楽しさと持続性が生まれています。
近年の公開情報
公式Mediumは2020年12月を最後に更新が止まっているように見えます。一方で、2025年公開のポッドキャストでは、生成AIによる猫エージェント開発や猫との対話など、2025年度版の取り組みが紹介されています。公開発信の場が、ブログから音声や雑談型コンテンツへ移っている可能性があります。
アーカイブ上の課題
Code for CATの記録は、公式サイト、Medium、Facebook、Qiita、CAMPFIRE、Catdon、Podcastなどに分散しています。このサイトはFacebookページの公開記録を軸に再構成していますが、団体紹介としてさらに強くするには、活動年表、主要プロジェクト、成果物、現在の活動状況、連絡先を横断的に整理することが重要です。